桃の節句・ひな人形の歴史
ひな祭りの起源は古く、平安時代の中ごろです。その頃は、今とは違い子どもの無病息災を願う、祓いの行事が主でした。
現在のようなお祭りに発展したのは江戸時代中頃からです。華やかな衣装の親王様に官女や五人囃子など、十五体の人形と立派なお道具類で構成された絢爛豪華な段飾りがお目見えしたのもその頃です。
その後、幕府や新政府での質素倹約の方策により、華美は一時的に衰えますがやがて復活します。
昭和時代の中・後期ごろに全盛を迎えた七段飾りも、住宅事情とともにコンパクト化し姿を消しつつあります。
生活スタイルで考える飾り方
そうした時代を経て変化している雛飾りですが、現在の人気のスタイルとはどのようなものなのか、簡単に列挙いたします。
- 「七段飾り」十五人揃え
- 「三段飾り」五人揃え
- 「親王様平飾り」内裏雛
- 「収納型飾り」内裏雛or五人揃え
- 「ケース入り」内裏雛or五人揃え
- 「逸品飾り」内裏雛(屏風などなし)
- 「木目込み」内裏雛or五人or十五人揃え
※内裏雛(だいりびな)→殿と姫様二人
※五人揃え→内裏雛+三人官女
※十五人揃え→内裏雛+三人官女+五人囃子+随身二人+三人仕丁
以上、7種類の飾り方があります。
その中で、さらにお顔や衣装などのポイントを押さえながら、お好みで決めいただくことになります。
その選び方については、一部重複しますがこちらのページをご参考ください。
次に、それぞれの飾り方の特徴を簡単にまとめましたので、お好みや生活スタイルをふまえご参考にしていただければ幸いです。
「ひな人形」セットの特徴
絢爛豪華な「十五人揃えの七段飾り」
間口90~120cm
メリット
江戸時代中期から伝わる、宮中の結婚披露宴を模したもので十五体の人形と嫁入り道具で構成されています。絢爛豪華な人形たちに娘の将来の幸せな姿を投影したとされる、一番正式なスタイルです。
デメリット
お飾りや収納にはかなり広いスペースと、飾り付ける手間が必要です。核家族化の住宅事情から、ほとんど見かけず希少なタイプとなりました。
(コンパクトな木目込み雛の十五人揃いはあります。)
華やかな「官女付き三段飾り」
間口65~120cm
メリット
平安朝の雅やかな婚礼の儀を表現した格調高いお飾りです。三三九度をする官女と嫁入り道具が付き、女の子のお祭りにはふさわしい、華やかなセットです。
スタイルは、組み立て式飾り台や収納型飾り台、伝統的な緋もうせん仕様の飾りなどがあります。木製の飾り台は豪華な印象ですが、緋毛せんタイプは人形本位の品格あるお飾りといえます。
デメリット
木製の飾り台の組み立ては、コンパクトサイズなら女性一人でも大丈夫ですが、巾90㎝以上の物は重みやガサがありお手伝いの方が必要となります。
(※緋毛せん仕様の飾り台は、軽量な桐素材なのでお一人でも組み立て可能です。)
主役にこだわる「親王平飾り」
間口55~120cm
メリット
お内裏様以外の人形を購入することがないので、決められた予算内でもより上質な親王さまを求めることができ、飾りつけも容易です。さらに、収納にコンパクト性を求めるなら「緋(赤)もうせんと金屏風」の伝統飾りがおすすめです。
デメリット
平置きタイプなので、テーブルやボードが必要となります。また、セットの仕様や大きさにもよりますが、華やかさを求める方には物足りないかもしれません。
利便性なら「収納箱セット」
間口45~75cm
メリット
箱型収納と、三段飾り用の引出し型収納があります。収納箱がそのまま飾り台になるため場所の設定がしやすく、飾り付けや保管など利便性があります。
全体的に華やかで可愛らしいタイプが多く、手軽にお節句を楽しめます。
デメリット
飾り台が省スペースで華やかさを強調するものが多く、人形がやや見劣りするセットも目立ちます。サイズによっては、かなり重みが増します。
ガラスケース入り雛人形
(間口50~80cm)
メリット
お内裏様だけのケース入りから、五人飾り、十五人飾りまでございます。
ガラスやアクリルケース入りのため、ホコリが気にならず、小さなお子様が人形を触ることも防げます。また、雛人形が接着固定されているため、お飾りする手間も省け、手軽にお節句が楽しめます。
デメリット
コンパクト性重視のため、飾り台のスペースが少なく人形がやや見劣りするセットも目立ちます。
固定されているため、一つ一つお飾りする楽しみが味わえず小さなお子様には少し寂しいお雛様かもしれません。大きめのサイズはガラス破損に備え、収納する場所、飾る場所は一考する必要があります。
「逸品飾り」
主役の「人形」だけを飾る
メリット
収納・飾る場所にお悩みの方におすすめです。
タンスやボードの上に緋毛せんを敷きお雛さまをお飾りします。ぼんぼりや屏風・飾り台などをご用意せず、主役である「人形」本位のシンプルなお飾りです。
スペースをとらず、しかもご予算的にもお得な飾り方です。お庭の花を添えたり、お手持ちのタペストリーでアレンジされてもよろしいでしょう。ひと工夫でオリジナリティのある素敵な空間作りが楽しめます。
デメリット
どうしても場所の確保ができない方のための究極のスタイルです。工夫次第で華やかにもなりますが、ぼんぼりやお道具類がないため小さなお子様にはちょっと寂しいお雛様かもしれません。(※あとで、購入可能)
ジャンル違いの
「木目込み雛」もおススメ!
木目込みは、コンパクトでも味わい深いおひな様として衣装着にはない魅力があります。
ぜひ、ご参考になさってくださいませ。
まとめ
可愛いお嬢さまのために、どんなおひな様をお迎えしようかと思うとワクワクしますね。
いまは、住宅事情も変わりコンパクトサイズが主流になりつつあります。まずは、どこに飾るのか、収納はどうするのかから悩まれるようです。そして、5年、10年先の生活スタイルやお嬢さまの感性の変化などもイメージされるとよいかもしれませんね。
こちらも、ご参考になれば幸いです。