お節句雑学

幸せを願う「予祝」という儀式

おひな様は「顔が命」と言われます。
それは、飽きのこない味わい深いお顔の表情を指すのでしょう。

時々、どちらにしようか選びあぐねて、深く悩まれるお客様がおります。
そんな時には「どちらが、幸せそうに見えますか?」と申し上げます。

お飾りするものですから美的感性上、怖くて暗い顔よりは美しくて可愛いお顔のほうが良いことは言うまでもありません。

しかし、それだけではなく「おひな様」にはご両親様の愛情を深く表現する大切な意義があるのです。

なぜ、男女対の人形を飾るの?

本来の雛人形飾りは、宮中の結婚披露宴を模したもので十五体の人形と嫁入り道具で構成されています。

最近は省スペースサイズですっかり簡略化されましたが、その富や幸せの象徴である絢爛豪華な人形たちに娘の将来の姿を投影したものが雛飾りです。

つまり、華やかに着飾った仲むつまじく寄りそう一対の男雛、女雛に「娘への想い」を託し、わが子も将来このような幸せが訪れますようにと願って飾るものです。

幸せを願う「予祝」という儀式

古来、雛人形は「厄除け」「情操教育」そして「予祝」という三つの意義のもと飾られてきました。

これは、その中の「予祝」という儀礼です。

読んで字のごとく「このように、絶対〇〇になれるはずだから、予め、祝いましょう!」という、日本古来の夢の叶え方です。

つまり、「この姫様のように、きっと幸せそうなお顔で嫁げるから前祝いしましょう!」ということなのでしょう。

どうか、幸せに満ち心が和むようなお顔のおひな様に、巡り合えますように…。

まとめ

おまじない的なことですが、ポジティブ思考で強く願えば叶うということでしょうか。

この根底には、どうにかして幸せにしたいという、わが子を思う深い親心があります。
その日々の愛情の積み重ねが、わが子に良運を引き寄せるのかもしれませんね。

ちなみに、今日でも続いている予祝には、豊年満作を願う花見や盆踊りなどがあるそうです。