多くの職人さんが切磋琢磨しながら作りあげた「ひな人形」はどれも素晴らしものですが、その中でも、独自の趣向と群を抜いた技量で定評のある「石川潤平工房」の作品をご紹介させていただきます。
最近は、お手頃価格で可愛らしい現代調タイプの木目込み雛が増えてはいますが、伝統的な作風の人形にはまたひと味違う深い魅力があります。
「小さな子が喜びそう…」だけではなく、末永く飾るお嬢様の宝として、自信をもっておすすめ致します。
木目込み雛は、いろいろ見たけど…。
とても魅力ある、独特な作風ですね!
お気づきですね!
“かわいい~♡”だけではないんです。
末永く愛でていただけるような、とても味わいのある作品なんですよ。
ネットでも買えるのかしら?
残念ながら、販売していません。
職人の高い技量のもと、一貫した自社工房内制作のため大量生産はできないのです。
そのため、取り扱い店舗も特約指定で県内では当店だけなんですよ。
「木目込み」と「衣装着」人形の違いは?
独創性を表現する「木目込み」
一般的に、雛人形といえば十二単の衣装を着た絢爛豪華なおひな様を思い浮かべることと思います。人間の姿をそのまま模写しているのでとても馴染みやすいはずです。
かたや、木目込み人形とは、抽象的な作りで作者の自由な発想のもと独創性を表現するものです。
つまり、人間の姿により忠実に作ろうとする衣装着人形とは違い、デフォルメされた姿や抽象的に描かれた表情などで、眺める側の感性を刺激するものです。
したがって、それを表現しようとする職人にはかなり高度な技量が求められるため、作品性には大きな差が生じやすく、その魅力を見極めようとするには難しい人形かもしれません。
だからこそ、感性に合う作品に出合った時の喜びは大きく、人形通といわれる方々に木目込みファンが多いこともうなずけるのです。
「木目込み雛」の魅力とは?
感性の変化で「味わい」を増す人形
「幼い子にはわかりにくいのでは?」と思われがちですが、そこが魅力ともいえます。
年齢を重ねるごとに、見え方や感じ方も、当然変わっていきます。しかも、それが抽象的でわかりにくいものであれば、なおさらに深く追い求めたくなる…。
例えば、スッと耳になじむ曲よりも、意外にもなじみにくいと感じた曲のほうが、聴き進むうちに忘れられない曲になるなど、それに近い感覚です。つまり、ストレートにわかってしまえば、そこで興味は薄れ、それ以上の探求はしないので飽きが速くなるということかもしれません。
では、木目込み人形すべてがそうなのかというと、そうとは限りません。 そこには、深く感銘できるような職人の創意工夫が凝らされていることは、言うまでもありません。
「かわいい!」「美しい!」だけでは計り知れない、奥深な「味わい」があるのです。
石川潤平工房とは?
名匠と呼ぶにふさわしい職人方
流通している木目込み雛は、大手の人形メーカーさんが全国的に普及しているものがほとんどです。もちろん、それぞれの職人さんが丹精込めて作り上げたものですから、どれも素晴らしい作品ばかりです。
では、有名メーカーさんの作品だけが素晴らしいのかというと、当然ながらそうではありません。それらの作品にも勝るとも劣らない、緻密で計算しつくした作品を生み出している職人たちもいます。
「石川潤平工房」の初代・潤平氏は、木目込み人形職人の功績として黄綬褒章をはじめ様々な賞を授与されており、亡き後は二人の息子(二代目・潤平氏、佳正氏)と孫の泰大氏(三代目・潤平)がその遺志を受け継いでおります。当作家たちは、木目込みならではの魅力を最大限に表現するべく努力を惜しまない優れた工匠であり、その緻密な作品性は人形業界でも高い評価を受けています。
作品性にこだわると、外注頼みの大量生産はできません。
石川潤平工房の作品は全国でも30店舗程度の扱いとなり、群馬県内では当店が特約指定店となります。
「石川潤平工房」作品の特徴
繊細な技が生む「豊かな表情」
慈愛に満ちた表情を描く「笹目技法」
目元を描く「笹目」という技法で表情をつくります。薄めの墨で濃淡をつけながら極細の線を幾重(片目50回以上)にも引き重ね、瞳に奥行き感を出します。これが立体的な表情を生み、無表情と思われがちなお顔が角度により変化するのがわかります。
「笹目」は木目込み人形の面相描きに共通した技法ですが職人の技量の差が大きく反映される部分で、上手に描くことができないと表情に乏しい飽きの速いお顔になってしまいます。
“丸み”を大切に表現した「独特な造形」
作家の「想い」と「技量」の高さ
石川潤平工房では、深奥な作品づくりを目指し、独創性を大切に表現しています。全体的に丸みをおびたふくよかなフォルムは、円満な幸福を願う心とお子様の純真無垢な姿をイメージして造形されております。眺めると、思わず笑みがこぼれるような愛らしさは癒しの作風と言えます。
木目込みの技法は、当作品のようにフォルムが小さく、しかも曲面が強くなればなるほど難しさが増すため、職人にはかなりの技量が求められます。
凛とした作風に彩りを添える「彩色」
特別感のあるお衣装をお探しなら!
一部の衣装に施されている、古来の貴重な技法です。金襴地とはひと味違う、品のある華やかさに魅了されます。 盛上げ彩色技術は、胡粉(ごふん)という貝殻の粉を膠(にかわ)で溶き、筆で盛り上げて、 輪郭を描き漆(うるし)を塗ります。
高く盛り上げる技術、はみ出さないように漆を均一に塗る技術など熟練が必要です。乾ききらない漆の上に純金箔をのせて接着させ、その内側に丁寧に色をのせて仕上げます。
衣装着や木目込人形のボディが全て完成してからの仕事になりますので失敗は許されません。非常に鍛錬を重ねた職人ならではの技です。
成人女性の方にも大人気!
「室礼」で人形を愛でる
季節とともに日本の心を飾る
~おもてなしの心~
「室礼(しつらい)」という言葉をご存じでしょうか?既に平安時代から使われていた言葉で、日本の美しい季節と共に、人を持て成す心、振舞う心を意味するそうです。
季節や人生の節目に、絵や書を飾ったり、お香を炊いたり、花を活けたりすることなど日本的な礼法の一つとして引き継がれています。
その十二ヶ月の室礼ではお正月飾り(羽子板・破魔弓)や桃の節句、端午の節句も大切な礼を尽くす行事のひとつとなります。
最近、諸々の事情で幼少の頃に雛人形に縁を持てなかった成人女性の方の購入が増えています。忙しい暮らしの中で「和」の心に癒されたいと感じている方が多いのかもしれませんね。
男の子用の「おぼこ大将」も大人気!
兄弟・姉妹で潤平作品はいかがですか?
人形作家「石川潤平・佳正・泰大」の作品には、男の子の可愛らしい姿を象った「おぼこ大将」飾りもございます。
一筆一筆描き上げられたお顔は、眺めれば眺めるほど味わい深さが増してまいります。
他では、なかなかお目にかかれない特別なお飾りとして末永く楽しんでいただけます。
まとめ
以上が、石川潤平工房の木目込み雛人形の特徴です。
木目込み人形といえば「お手頃価格の、コロッとして、小っちゃくて、かわいいお人形」という認識をもたれるお客様が増えている気がします。たしかに可愛らしい作品は多いのですが、「味わい深さ」というところでは伝統的な作風には遠く及ばない気がします。
潤平工房の作品は20年以上扱わせていただいております。そして毎年、店内展示の作品を眺めておりますが、販売する立場でも飽きが来ません。
それは、ひとえに独自の創意工夫や高度な技量を持ち、日々鍛錬されている職人さんたちの努力の賜物だと思います。
数多くの木目込み作品を見てきましたが、いまだ潤平工房の作品をしのぐ雛人形には出会えていません。
そのような理由からも、末永く愛でていただける作品として自信をもってお勧めさせていただきます!