ひな祭りの起源は、平安時代の人形(ひとがた)と呼ばれるものに身の汚れを移し川に流す「流し雛」と「ひいな遊び」が結びついた行事とされます。ひいな遊びとは現代でいう“おままごと”のようなもので、そこから様々な作法を身に着けたのでしょう。
おひな様は、親子で飾ることで意味を成すとされ、古くから女の子の情操教育にも役立ってきたものです。
末永く美しくお飾りできますように、おひな様のお仕舞の仕方や管理などを簡単に説明させていただきます。
情操教育の一環「ひな祭り」
早く片付けないと、お嫁に行けないの?
もちろん、迷信です。
季節の節目の飾りものですし、いつまでもお片付けせずにいてはだらしないと、戒めた言葉ですね。
お嬢さまが、日本の四季を愛しむ心を持ちながら、雛人形を美しく飾ること、丁寧に扱うこと、そしてお仕舞いすることなど、その一連の行儀作法を学ぶことは大切なことです。
そして、女性として幼いころに学んだ作法は、やがてあらゆる場面で役に立つことになります。
ひいては、そのような環境でお育ちなれば、早くに良縁に恵まれるということでしょうか。
末永くお飾りするために!
収納の状態を写真撮影すること
待望のお雛様が届けば、大喜びで箱からジャンジャンお品を出して早くお飾りしたいですよね。
でも、そこは少し待っていただきたいのです。
なぜかというと、おひな様には細かいお道具が多いうえ、人形が傷まないように丁寧に梱包されています。同じようにお仕舞しないとお顔の傷みや衣装崩れの原因にもなりえます。
特に、収納箱タイプだとコンパクト性を重視したものが多いので、中の小箱がパズルがごとく難しいものもあります。毎年、悩まずお仕舞するためには収納状態の撮影がおすすめです。
困ったわぁ~
どの箱に何が入っていたのかわからないの…。
えっ!
飾るとき夢中だったからね…。
そういえば…。
お人形を出すとき写真撮ったわ!!
良かったね!
これで上手に仕舞えるね。
来年のために
写真は箱に入れておこう!
片付けの時期と収納の仕方
①人形はカビが大敵です。三月三日が過ぎたからとあわててしまうよりも、良く晴れて乾燥した日を選びます。湿気が多い住居では、押し入れの上段や天袋などの比較的湿気の少ない場所に保管します。
②毛バタキで人形や道具に付いたホコリを丁寧に落とします。ただし、お顔は傷みやすい(※㊟)のでハタキが直接当たらないようにご注意下さい。
③人形のお顔はティッシュなど柔らかい紙(化粧用コットンなどを当てればなお良い)で包み、傷まないようにします。素手でお顔を触ると手脂でシミ ( ※㊟) になりますので、メンテナンス用の手袋を使用しましょう。
髪型の崩れにも十分気をつけて下さい。
※㊟ お顔の表面は、胡粉という貝殻の粉を塗布しており擦り傷が付きやすく、手の脂も吸収しやすい。
④衣装は型崩れをしないように収納するのがポイントです。特にお姫さまや官女の袖やすそ部分はシワになりやすいので注意します。 人形を箱の中に納めるときは隙間にやわらかい紙(なければタオルで代用)などを程良くつめ、中の人形が動かないようにします。
防虫剤の適量を守り、なるだけ人形に触れないようにお入れください。
⑤初めてお出しする時には順を追って写真を撮り、それを人形やお道具の箱の中に保存することをおすすめいたします。どうしても収まりきれない場合は、販売店にお持ちすると親切に教えていただけると思います。
防虫剤の使用の仕方
衣料品用ではなく、「おひな様」用の防虫剤をご使用ください。主に、ピレスロイド系(エムペントリン)の防虫剤が多く、金糸や銀糸、プラスチックなどにも影響がでにくいタイプです。防虫剤は適量を守り二種(樟脳とナフタリンなど)併用を避ければ、末永く美しいお雛様を飾ることが出来ます。
まとめ
お片付けも管理もちょっと面倒と感じることもあるかもしれませんが、おひな様本来の意義はそこにもありますので、ぜひ心に余裕のある時間をみつけ、じっくりお子さまと向き合えると良いですね。
小学生のお姉さんになる頃には、得意げに自分のお雛様を美しく飾り、丁寧にお仕舞できるようになることと思います。
そうしたら、良く褒めてあげてくださいませ。
それもまた、パパとママそしておひな様との良い思い出になりますから…。